犯人探し本能
みんな、犯人探しって好きだよね。
なにか問題が起こったら、誰が一番悪いのか、つきとめるまでなにかおさまらない。
誰かが責任を取らないと前に進めない。
誰かのせいにしないと気が済まない。人間の特質なのかな。
犯人を探すのはいいけど、見つけてそのあとはどうするの?
見つけて、はい、終わり??
犯人探しに夢中になっていると、問題の本質が見えなくなってしまう。
本当にやらなきゃいけないことがわからなくなっちゃうんだ。
なぜ人は犯人を探し出そうとするのか。
原発はメルトダウン。現在でも放射線物質による汚染で立ち入りできない区域がある。
地震直後は計画停電が実行され、原発なんて危険な発電はやめようと言う。
さあ、悪いのはだれだ????だれが責任をとるんだ???
ニュースなんかで東電職員が謝罪するのを見たことがある。
でも、この人たちは一体、誰のために、なんのために謝ってるんだ??
みんなが一丸となってやらなきゃいけないのは、責任の所在確認なんかじゃなくて、「次また同じような地震が襲ってきたらどう備えるか」じゃないの??
地球温暖化。教科書やよくある報道では、国別の二酸化炭素排出量を見ると、ベスト3に中国とインドが入っている。
なるほど。地球温暖化の犯人は近年急成長をする中国とインドだったのか!!
もっと二酸化炭素を減らせよ!!
いやいや、ちょっと待って。
二酸化炭素排出量を国別で見るんじゃなくて、「ひとりあたりどれくらいの二酸化炭素を出しているか」で見てみてよ。
そしたら圧倒的にアメリカやフランス、日本、ドイツといった先進国のほうが多い。
そりゃ中国やインドは人口が10億をこえるんだから、合計の二酸化炭素は多くなるよ。それより見つめなきゃいけないのは、われわれが一人一人がどれだけ二酸化炭素を排出してしまっているか、ということ。
まだ医療が発達する前の時代、梅毒は最悪の病気だった。痛がゆい水膨れから始まって、骨までただれてしまって、骨が見えるらしい。
その得体の知らぬ病気は、国によって呼び方が違ったんだって。
ロシアではポーランド病と呼ばれ、
ポーランドではドイツ病と呼ばれた。
ドイツではフランス病と呼ばれ、
フランスではイタリア病、
イタリアではフランス病と呼ばれた。
そうやって犯人を ”ガイジン” にすることで一件落着してたんだって。
誰かのせいにしないと前に進めないんだって。
大事なのは、犯人を探すことなんかじゃない。
犯人探しに夢中になりすぎてしまうと、本当にやらなくちゃいけないことが見えなくなる。
本当に大切なことは、なぜそのような問題や事故が起こってしまったのかを考えて、もう二度と同じことが起こらないように、解決策を考えることではないのか??
よく、責任をとってやめる、みたいなのがあるが、
もうそんな「切腹マインド」はやめよう。
責任を取って、腹を切るなんて、死ぬなんて、それは礼儀でもなんでもなく逃避だ。
そんな重大な問題を引き起こしてしまったんだったら、責任をもってそれを解決して、もう二度と同じことが起こらないように徹底しなよ。
それだけの問題を引き起こせたんだから、それを挽回できるくらいの能力があるんだろ?
失敗は成功のもとってみんな言ってたじゃん。きれいごとだったのかよ。
ってたまに思う。笑
-----------------------------------------------------------------------
参考:
図は、全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)より
https://www.jccca.org/global_warming/knowledge/kno03.html
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 ハンス・ロスリング著
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
-----------------------------------------------------------------------
↓ ↓ 他の『ファクトフルネス』に関する他の記事は下から ↓ ↓