挑戦をやめる理由
ファクトフルネスから学ぶ「思い込み」の怖さ。
現在、世界の人口は増加の一途をたどり、76億人を超え、もう近い将来、80億を超えようという勢いだ。
学校の教科書なんかを読むと、アジアやアフリカの貧しい国々を中心に人口爆発が起こっていって、世界の人口は増え続ける。なにか策を講じなければ、地球がもたない。
確かに。世界の人口は、ここ近年で目まぐるしい勢いで増えているし、このまま何もしなければ、永遠とこのペースで増加し続ける気がする。
そう思えてしまう。
それを受けて、こんなことを言う人がいるんだって。
「貧しい国に医療・教育などへの投資や慈善活動をしてしまっては、もっと豊かになってしまって、もっとたくさん子どもを作って、もっとすごい勢いで人口が増えてしまうじゃないか!!そうしたら、地球が滅んでしまう。」
一見、その通りのように聞こえるけれど、実は逆だ。それは日本を見ればすぐわかる。
日本は世界の国々と比べると、非常に豊かな国だ。そんな日本では、少子高齢化?晩婚化?あげくの果てに子供は作らない?
国の水準が豊かになると、家計も比較的余裕がある。余裕ができると子どもをたくさん産むかと思いきや、我が子の質を上げようとする。
つまり、ひとりの子に教育などにかかる資金をいかにつぎ込めるか、を重視するようになる。たくさん子どもがいては、その資金を分散させなくてはならない。
質の良い子どもが大人になれば、親は老後を安心して過ごすことができる。
一方、国の水準が比較的貧しいと、そもそも生まれた子どもが大人になれるかわからない。
病気にかかって死んでしまうかもしれない。飢饉に見舞われるかもしれない。戦争に巻き込まれるかもしれない。
さらに、稼ぎが必要だから、一家に働き手は多い方がいい。だから、子どもをたくさん作る。
つまり、正しい認識は、豊か→子ども少、貧しい→子ども多!
ってことは、世界の人口を減らそうと思ったら、まだ発展途上と呼ばれる国々を豊かにすればいい!!!!!
現在、国連が発表した報告によると、2100年には世界の人口は110億人にのぼるが、それ以降は横ばいで、人口爆発は鎮まる、とのことだ。
世界が今日よりももっと豊かになるってことかな。
たしかに、こんなにすごい勢いで増えていたら、このまま永遠に増え続けるんじゃないかって思ってしまう。
でも冷静に考えれば、雑多な情報に踊らされなければ、思い込みで危険な発言をすることを避けられるかもしれない。
だって、身長が毎年2センチずつ増えている小学生が、「このままいけば死ぬまで2センチずつ伸び続けるのかな!?」とはならない。
よく宗教に関連付けて、子どもの数を語る場合もある。
「カトリックは中絶を禁止するから、熱心なカトリック教徒の多い国は、子どもが生まれる数が多く、人口が増え続ける。」
いやいや、そんなことはない。女性1人あたりの子どもの数は、スペインでは1.33人、ブラジルでは1.73人、メキシコでは、2.18人だからだ。
明らかに子どもの数は、宗教ではなく、豊かさで決まる。
「思い込み」は危険なときがある。間違った認識で世界を眺めてしまうし、なにより挑戦を恐れてしまうことがある。
中学生たちはこんなことをよくこぼす。
「おれなんかが学年順位、一桁とれるわけがない。」、「わたしなんかが英語の点数をあげられるわけがない。」
これは日本人の謙虚さでも何でもない。
ただ単に、「自分の実力はここまでなんだ。」っていう思い込みが発動してる。
そのせいで、中途半端に勉強を終わらせて、この程度でいいやを何度も繰り返す。
おいおい、「学年順位一桁をとる」、「英語の点数を上げる」っていう夢を不可能なものにしてるのは、君の「無理だ、できるわけがない」っていう「思い込み」だぞ。
君の「才能」や「能力」なんかじゃない。
「やってやる」って思わないと何も始まらない。だって、人間でも空を飛べるって信じたから、ライト兄弟は飛行機を発明できたんでしょ?
「空なんか飛べないわ。」って思い込んでたら、飛行機なんて生まれない。
「思い込み」は誤った世界の景色を君に提供する。
どうせ思い込むなら、「おれにもできる。」って思い込んだ方がいいんじゃない?
そしたら、見えなかった世界に出逢えるかもよ。
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参考:
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 ハンス・ロスリング著
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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