コロナが蝕むもの
パターン化本能。
それは、ひとつの例がその他のすべてにあてはまる、と考えてしまう本能。
たしかに、ひとつの事例が他のすべてにあてはまるんだったら楽だ。
だって、そのグループはそういうもんだから、って思えばこれ以上考えなくて済む。
そう、この本能の怖さは、ある事例を見たら、他もきっとそう、と思い込んでしまうところにある。
「鉄は磁石にくっつく」と知ると、「ああ、なるほど。金属は磁石にくっつくのね!」と思い込んでしまうように。
ヒトは気づかないうちにやってしまう。無意識に。
そしてそれが、ある集団を見る時のステレオタイプになる。
ぼくたち日本人は中国人や朝鮮人が嫌いだ。
戦争の歴史から抜け出せない、歴史のストーカーのような人たちがいっぱいいる。
例えば、1923年に起きた関東大震災。
火災や土砂災害などを誘発し、死者・行方不明者あわせて10万5千人にものぼる大きな地震だったことは間違いない。
しかし、驚くべきことが起きた。
その震災の混乱のなか、日本人の学生や軍人が、そのとき日本にいた朝鮮人や中国人の人たちを次々に虐殺していったんだ。
「朝鮮人がこの地震を起こしたんだ!!朝鮮人がこの混乱の中、日本で暴動を起こそうとしているんじゃないか??危険だ、こらしめてやる!」
なんだそりゃ。それで罪のない朝鮮人・中国人が約6000人も殺された。
もうひとつの例、中国人の爆買い。話題になった。
日本に観光に来た中国人が日本の品々を大量に買いあさった。
その姿を見て、日本人は、「ああ、中国人があんなにたくさん買って。また変なことをしだした。やっぱ、中国人は変なやつらだなぁ。」
こんなことを言う人は歴史を知らなすぎる。
なぜなら、日本人だって外国に出かけて、商品を買いあさった時代があるからだ。
高度経済成長期とバブル期だ。
パリまで行って、ルイ・ヴィトンを買いあさった。
ぼくたちだってやってたのに、彼らを変だというのか?
なんか、中国や朝鮮に対して、悪いイメージを持っている日本人は多い。ぼくらの親世代は特に強い、という印象がある。(あくまで印象)
ある強烈なステレオタイプをもっていると、それをグループ全体に当てはめてしまう。考えるのをやめてしまう。
そして、民族間のいじめにつながっていく。
さあ、最後に最近ホットな、
コロナウイルス について。
ちまたでは、マスクの値段が高騰するくらい、みんなが恐怖に満ちている。
たしかに、自分や身の回りの人がウイルスに感染して、苦しむ姿はだれも見たくない。
でも、ここでまた中国いじめが流行ってきているらしい。
中国人を見ただけで差別的な扱いをしたり、偏った見方での報道をしたり。
だれかが中国人いじめを楽しんでいる。
たしかに発生源は中国・武漢。でも、それは差別の理由にはならない。
どうやら、
コロナウイルスによって蝕まれているのは、
「日本人の肺」ではなく、「日本人の品性」のようだ
そんな品も教養もない日本人が近くにいることはないとは思うけど、いま直近でやることはそんなくだらないことじゃない。
少しでもウイルスの感染を広めないための努力をするべきじゃないのか??
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参考:
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 ハンス・ロスリング著
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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