漆器と陶磁器 / "japan"と"china"
「日本」を英語で言うと "Japan" なんだけど、
実はもうひとつ、この英単語には意味があって、
それは、「漆器」という意味もあるんだって。
確かに、日本の工芸品や歴史的な建築物には「漆」が使われているよね。
たとえば、足利義満が造立した金閣寺には1.5トンもの「漆」が使われている。
「漆」は古来から、日本国内で木材の腐食を鈍らせる保護剤として使われたり、
壊れた工芸品などを直す修復剤として使われたり、
その見た目の美しさだけでなくその効能までも優れていた。
「漆」は素手で触ると、肌がかぶれてしまうらしい。
だから、取り扱いは非常に難しかったが、
漆黒のツヤにつつまれた日本産の「漆器」は、富の象徴として、
かつてのヨーロッパでの羨望の的となった。
16世紀、世界は大航海時代。
ヨーロッパ諸国は東アジアの珍しい物産を求めて、東へ東へと帆を進めた。
同じ時期に、東アジアで流行ったもうひとつの "ウツワ" がある。
それは、中国の「陶磁器」である。
陶磁器産地で有名な、景徳鎮なら聞いたことあるかな??
実は、このころ中国の美しい「陶磁器」もヨーロッパ諸国の注目を浴びた。
「陶磁器」を英語でいうと、"china" 。
そう、ヨーロッパから見たら、東の果てにある2つの国は、
「漆器」と「陶磁器」だったんだ。
"ウツワ" の歴史ひとつとっても、
日本と中国は、常にお隣さん同士、切磋琢磨してきた。
一体どっちが東アジアで一番強いのか。
先に文明が花開いたのは中国だった。
黄河と長江流域を光源とするまばゆい光は、その他多くの中国諸文明に影響を及ぼした。
そして、日本にも文明の光が届くようになる。
だが、19世紀のヨーロッパのうねりに巻き込まれた中国は、アヘン戦争で一気にヨーロッパの脅威に飲み込まれてしまう。
先に近代化に成功したのは、明治維新を推進した日本だったんだ。
そして、にらみ合っていた両者が、ついに衝突する。
結果、先の2つの世界大戦を通して、日本は中国に敗れてしまう。
勃興と失政を繰り返し、いまや日本と中国は、世界のGDPランキングでアメリカに並ぶトップ3に君臨する。
すごいね。笑
仲がいいのやら、悪いのやら。
でも、お互いがお互いを強く意識してきたからこそ、
この2国の繁栄が、いま、確かに強くアジアに林立しているんだろうなぁ。
…勘のいいひとは、もうわかると思うんだけど、
いま、
『令和2年度 埼玉県公立入試 学校選択問題 英語 大問3』
を読んで、そうしみじみと思いにふけってたっていう話でした。笑