家庭の天使
多くの人々に愛されている童話「シンデレラ」。悲劇のヒロインとして登場し、魔法の力で王子様と結ばれる。童話としても、ディズニーのリメイクとしても有名なこの物語。今回は、このシンデレラの服装について。
↑シンデレラ(https://www.tokyodisneyresort.jp/happy/bbb/princess/)
実は、この華やかなドレスの内側には秘密が隠されている。それは、腹部を強烈に締め付ける「コルセット(corset)」と、スカートを膨らませるための輪っか状の針金「クリノリン(crinoline)」。
↑コルセット
(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88)
19世紀ヨーロッパではウエストが細ければ細いほど美しいと思われていて、多くの女性が腹部を硬い鉄の板で締め付けた。想像してみてほしい。硬いコルセットのおかげで内臓は上部に突き上げられ、多くの女性は身体異常をきたした。
コルセットだけでも恐ろしいけど、注目したいのは「クリノリン」の方。この服装、見ればわかるけど、明らかに動きづらい。馬車からも降りれないし、これじゃあトイレもまともにできないんじゃ!?当然昔の舗装されていない道なんて泥まみれになってしまって歩けない。結果どうなったかというと、女性は家にいるしかない。
↑クリノリン(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%8E%E3%83%AA%E3%83%B3)
この服装がもとで家にいることを余儀なくされたのか、女性は家にいるのが当然だからこの服装が生まれたのか、どちらが先か順番は分からない。でも、これが生まれたことで、女性が「家庭の天使」になるのは加速しただろうね。
女性が家事を担う(家にいることを余儀なくされる)ことを加速させる、動きづらさの文化はヨーロッパだけにとどまらない。
例えば、お隣中国では「纏足(てんそく)」と呼ばれる文化があった。幼少のころから女の子の足を布でぐるぐる巻きにして成長しないようにする。女性は足が小さい方が美しいんだって!いやいやこんなんじゃまともに歩けないし、家を出るなってことか!?
↑纏足(てんそく)(https://karadasuteki.com/20190424/)
実は、日本にも女性の動きづらさの文化がある。それは、「十二単(じゅうにひとえ)」である。これは平安時代から現代までに受け継がれる女性の伝統的服装。
↑十二単(じゅうにひとえ)(https://wedding-tips.jp/n09_junihitoe-wedding/)
重さは約20kg。ビジュアルからして動きづらさの極み。こんな格好で道を歩いては、路上のごみをすべて回収してしまうんじゃないか!?トイレなんて絶対大変。女性らしさを表す華やかな一面がある一方で、日本の女性は家庭内に閉じ込められたのである。
「クリノリン」、「纏足」、そして「十二単」。もちろんこれは貴族社会の話であって、庶民はもはや男女の区別なんてなかった。だとしても、他にもたくさんの例が地球のあらゆるところで見られると思う。でも本当に不思議なのは、「いつどの時代、どこの地域でも男性は外で仕事、女性は家庭内で家事を行う」という、謎の共通点である。
現代日本でも、女性の動きづらさの文化として、ハイヒール、パンプスといったものがある。オシャレで履いている、という人ももちろんいるが、無理矢理"そういうもの"として履かされている女性も多い。特に就活時のこれらの履き物はやめようという動きがやっと出てきたところ。
ここまで女性の活躍を謳う日本でもまだまだ女性の社会進出は完全とは言えないし、多くの主婦の方々が不平をこぼしながら家事という無償の労働を強いられている。実は日本が一番、女性に対する扱い方がワールドスタンダードから遅れていたりする、というのが実情なんだって。