Film Note。 ~『紺青の拳』 編~
「君の "拳" は、何のためにある?
強さを追い求めて、その先に何がある?
目的を持たない不完全な "拳" は危険だ。」
(レオン・ロー 劇中より抜粋)
「握った "拳" の中に、まるで何かがあるかのように思わせるのがマジシャンで、
その "拳" を開く前に、中身を言い当てるのが探偵だろ?」
(怪盗キッド 劇中より抜粋)
『紺青の拳』(こんじょうのフィスト:宝石の名前)
をめぐる事件は複雑な様相を呈し、
様々なキャラクター達が翻弄されていく。
そこには、真実の物語があり、マジシャンの物語があり、
そして武闘の物語をはらんでいる。
ブログ冒頭で、映画の中で印象に残ったセリフを挙げてみたんだけど、
やっぱり、"拳" をテーマに物語が進んでいく。
劇中では、"拳" は、その人その人が持つ「武器」を描写している。
ズバ抜けた知性、洗練された奇術、そして鍛え抜かれた武術。
それぞれが何年もの努力を積み重ね、磨き上げたその「武器」が炸裂する。
1つのこと極めることには、
膨大な時間やお金、そしてなにより努力を要する。
それは「才能」という言葉で片づけてしまいたくなるような、
血の滲むような努力。
その極まった「武器」は、
その人の価値でもありそれを活かして、
仕事になったり、人を喜ばせたり、勇気を与えることができる。
でも、
その「武器」は使い方に注意しなくてはならない。
文字通り、人を傷つけうる「武器」にもなる。
使い方を一歩間違えれば、
知性が他人を騙すために使われたり、
その拳を誰かに傷を与えるために使われてしまったりする。
それを印象づける話がある。
古代ギリシャの医者は、その職業を名乗るために、
必ずやらなければならないことがある。
それは、
アスクレピオスという神様に誓いを立てなきゃいけなかった。
「ヒポクラテスの誓い」だ。
これは、これから看る患者さんや医学的技術の一切を秘密にする、という誓い。
なぜ神に誓うかって?
医者は患者を治すために薬草の研究をする。
でも、それは同時に、毒草の研究をすることに等しい。
その「武器」の使い方をひとつ間違えれば、
医者はいつでも暗殺者になれるんだ。
だから、誓いが必要だった。そして、その秘密を誰にも話さないという誓いも。
「目的を持たない不完全な "拳" は危険だ。」
やっぱり、
その人の「武器」は、正しい目的があって初めてその威力を発揮する。
あなたはその得意なこと、勉強していることは、何のため??
あやふやなまま進んでいけば、きっと誰かを危険にさらしてしまう。
心の間隙に悪魔の一声が吹き込まれれば、
それは誰かを傷つける何かに変貌してしまうかもしれない。
もし、その目的がはっきりしたとき、
あなたのその "拳" は誰よりも強く、高く、
そしてたくさんの人々を幸せにすることができるんだね。
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参考:
映画『名探偵コナン 紺青の拳』
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