Film Note。~『純黒の悪夢』編~
「自分とは何者ですか?」
この質問にパッと答えられる人は、なかなか少ないだろう。
なんのために生まれたのか?
何をして生きるのか?
自分とは一体何者なのか?
でも、この答えが簡単にわかったら苦労はしない。
誰もがこの答えを探しているからこそ、
みなそれぞれに生き、悩み、苦しむ。
そして、自分が今いる道が正しいかどうか、
分からないまま暗中模索で進んでいく。
オレンジの皮を使ったオランダ生まれのお酒。
無色透明のその酒は、様々な着色をすることで、楽しまれる。
無色だからこそ、何色にもなれる。
それが、今回カギを握る黒の組織のメンバーのコードネーム。
つまりスパイたちの名前を連ねた "ノックリスト" が
彼女によって盗まれるところから始まる。
スパイというのも自分を偽り、自分の色を変える仕事柄。
そしてド迫力のカーチェイスの末、
事故によってキュラソーは自身の記憶を失ってしまう。
事故から命からがら脱出したキュラソーはコナン達と出逢う。
物語を進めていくごとに、いつもはドジばかりの少年探偵団と関わることで、
自分の進むべき方向を決心し、そして色を変える。
彼女は組織を裏切り、探偵団を助けるという選択をしたんだ。
十人十色というように、人にはそれぞれ色があるとされている。
誰もが、何色だかの色を持っているらしい。
その色さえなんなのか分かれば、楽に生きれるんだろうな。
「自分はこういうものだ。」
それさえわかれば、自分がどう生きればいいかもはっきりする。
でも、
色がはっきりしすぎていても、どうやら苦しい人もいるらしい。
物語の中では、壮絶な公安 VS FBIという対立軸も描かれている。
目指す方向は同じなのに、そう簡単には手を取り合うことができない。
誰もがその "色" とやらに苦しむ。
作品によると、その "色" を決めるヒントは、
どうやらその人の「過去」や「記憶」らしい。
キュラソーが自分の色を決めるのに使った "物差し" は、
自身の「思い出」だった。
過去を見つめることで、
今までの自分が何をしてきたか。
どういう選択をしてきたのか。
そして、何をすると、どう感じるのか。
その「思い出」から、自分の色を判断した。
自分が一体何者なのか、自分が一体何をすればいいのか、を。
"色" を決めた彼女は、子どもたちを救うために命を燃やし、その生涯を終える。
かけがえのない「想い出」と共に、命は燃え尽きた。
"色" と "色" がぶつかり合い、"色" が何なのかを探し求める。
この映画はそんな人間の生き様を、葛藤を、ド迫力のアクションに乗せて描き出した。
それは、「純黒の悪夢」なんだって。
悪夢から覚めるにはどうしたらいいんだろうな。
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参考:
映画『名探偵コナン 純黒の悪夢』
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